輸入の定義を分かりやすく解説!
関税法第2条第1項第1号
関税法第2条第1項第1号により、輸入は以下のように定義されています。
輸入とは、次の① から③ までのいずれかの貨物を本邦に(保税地域を経由するものについては、保税地域を経て本邦に)引き取ることをいう。
① 外国から本邦に到着した貨物
② 外国の船舶により公海で採捕された水産物で本邦に到着した貨物
③ 輸出の許可を受けた貨物
こんな短い文なのに法律って読みにくいですよね。
次はこの法律を簡単な言葉で分かりやすく説明していきます。
分かりやすく解説!
「輸入」とは、日本に物を持ち込むことを意味しますが、次のような場合が含まれます。簡単に説明すると以下の通りです。
① 外国から本邦に到着した貨物
=普通の輸入(外国から日本に運ばれてきた物を受け取る場合)
例:海外の工場で作られた商品や食料品が日本に到着して、国内で使われたり販売されたりする。
これは私たちが通常イメージする輸入ですね。
② 外国の船舶により公海で採捕された水産物で本邦に到着した貨物
=公海の水産物の輸入(海外の船が公海でとった魚や貝などの水産物を日本に運んできた場合)
例:外国船が遠洋でとったマグロやエビが日本に運ばれ、国内で流通する場合。
③ 輸出の許可を受けた貨物
=再輸入(一度日本から輸出された物を日本に戻す場合)
例:海外に売った商品が返品されてきたり、修理や改造のために日本に戻される。
本邦:日本のことです。尚、領海も本邦に含みます。
保税地域:というのは、輸入品が日本の税金を払う前に一時的に保管される場所を指します。たとえば、港や空港の特定エリアです。保税地域を経由する物も輸入に含まれます。
公海:どこの国にも属していない海のことです。簡単に言うと、国の領土として管理されていない海の部分です。各国には「領海」といって、海岸から最大12海里(約22km)の範囲があります。この領海の外側が公海です。
外国貨物:法律上「外国から来たもの」として扱われる貨物のことです。日本国内にあっても「外国のもの」とみなされる場合も含まれます。
税関:日本と外国の間で物が出入りするときに、その手続きやルールを管理する役所です。関税や消費税の徴収したり、違法な物の取り締まりをします。
税関長:税関のトップです。輸出入に関するルールをしっかり守らせるために、税関の仕事を管理しています。
つまり、輸入とは単純に海外から物を運び込むだけでなく、輸出品の再輸入や、公海でとられた物を持ち込む場合も含まれるということです。
補足:排他的経済水域での採捕
公海でとれた水産物には、次の2つの場所でとられた魚や貝も含まれます:
- 日本の排他的経済水域(EEZ)
=日本が経済的な権利を持つ海域。 - 外国の排他的経済水域(EEZ)
=他国が経済的な権利を持つ海域。
そのため、外国の船がEEZでとった水産物を日本に持ち込むことも「輸入」にあたります。
排他的経済水域(EEZ):海岸から200海里(約370km)以内の海域で、その国が魚や鉱物などの資源を利用する権利を持つエリアのことです。EEZ内は国の領土ではないので、他国の船や飛行機も通ることができますが、漁や資源の採取には許可が必要です。
最後に
それぞれ、物が日本に運び込まれることが共通していますが、背景や取り扱いに違いがあります。そのため、上記のすべてが「輸入」に含まれるとされています。
以上、本記事は輸入の定義を説明しました。通関士を目指す方、貿易知識を身につけたい方、筆者と友達になりたい方(?)はぜひ他の記事もご覧ください!
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