【貿易大分析】みなし内国貨物とは?

貿易知識

「みなし内国貨物」について分かりやすく解説!

みなし内国貨物(関税法第74 条、同法施行令第64 条の2)

次の貨物は、税関長の輸入の許可がされなくても、輸入の許可がされた貨物とみなされ、内国貨物として扱われることになる。これを「みなし内国貨物」という。

  1. 日本郵便株式会社から交付された郵便物、信書便物の送達を行う者から交付された信書

  2. 保税展示場の許可期間満了後、なお保税展示場にある外国貨物に対し、関税が徴収されたもの

  3. 収容等貨物で、公売に付され、若しくは随意契約により売却されて買受人が買い受けたもの

  4. 法令に基づく没収、輸出してはならない貨物、輸入してはならない貨物の規定により没収されたもの。税関長が、犯則事件の調査により犯則の心証を得て、その理由を明示し、罰金に相当する金 額及び没収に該当する物件又は追徴金に相当する金額を税関に納付すべき旨を通告し納付されたもの。刑事訴訟法の規定により売却され、没収が執行され、若しくは国庫に帰属したもの。銃砲刀剣類所持等取締法の規定により売却され、若しくは国庫に帰属したもの

  5. 保税工場における場外作業の許可を受け、指定された期間が経過しても、なおその場外作業の許可を受けた場所にあって、関税を徴収されたもの(保税展示場の場外使用、総合保税地域の場外使用についても準用される。)

ごんべ
ごんべ

長くて分かりにくい!!…と感じた方も多いと思いますので、下記で簡潔に説明します。

簡単な言葉で説明!

1. 郵便物や信書便の取り扱い
日本郵便や信書便サービスが運んだ手紙や荷物に関するもの。

通常、輸入する場合は「これを輸入します」と税関に申告して、審査や検査を受け、関税を払って許可をもらう必要があります。これが「輸入申告」です。そして、外国の貨物が正式に日本の貨物になります。

でも、郵便物の場合は少し特別です。

  • 輸入申告が必要な場合:普通の貨物と同じ手続きが必要です。
  • 輸入申告が不要な場合:例えば、値段が20万円以下の郵便物は、申告や税関の許可が不要です。

では、申告が不要な郵便物はいつ日本の貨物になるかというと、「郵便配達員が届けた瞬間」、つまり、受取人が荷物を受け取った時点で外国貨物から日本の貨物に変わります。

簡単に言うと、20万円以下の郵便物なら、配達された瞬間に輸入完了となる、ということです。

2. 保税展示場にある貨物の扱い
保税展示場(税金が一時的に免除される場所)で保管されていた外国からの貨物が、展示期間が終わった後に税金が課されたもの。

保税展示場は、外国から来た貨物を一時的に展示できる特別な場所です。例えば、国際見本市や博覧会で展示される商品がここに当たります。

この場所は、税関が一定の期間だけ「保税地域」として認めていて、その期間が過ぎると外国貨物を置いておくことができなくなります。

もし、展示を続けたい場合や日本国内にその貨物を置き続けたい場合には、外国貨物を正式に日本の貨物(内国貨物)にする必要があります。そのために関税を払います。

つまり、関税を払うと、その貨物は正式に輸入されたものとみなされ、普通の国内の貨物として扱えるようになるのです。

3. 公売や随意契約で売却された貨物
税関で保管されていたものが、オークションや直接販売で新しい所有者に売られた場合。

保税地域は外国から来た貨物を一時的に保管できる場所ですが、そこに永久に置いておくことはできません。期限が決められており、その期間を過ぎても貨物を置いたままだとルール違反になります。

この場合、税関はその貨物を自分たちの倉庫に移すことができます。これを「収容」といいます。

さらに、収容された貨物が一定期間放置された場合、税関はその貨物をオークションや直接販売で売ることができます。この時、買った人を「買受人」と呼びます。

買受人が代金を支払うことで、そのお金が関税などに使われるため、税関としては関税を確保できたとみなします。このため、その貨物はもう外国貨物として扱う必要がなくなり、正式に日本の貨物(内国貨物)とされます。

4. 没収された物品
違法行為や法令違反で没収されたものが、罰金とともに納められたり、国の所有物になった場合。これには銃や刀などの危険物も含まれます。

没収とは、犯罪に関わる貨物を税関が取り上げて、二度と元の所有者に返さないことです。

例えば、麻薬のような「輸入してはいけないもの」は犯罪行為に当たるため、没収されたら返してもらえません。没収された貨物は、その時点で国の所有物(国庫帰属)となり、内国貨物とみなされます。

一方で、「収容」の場合は、罰金や手続きを済ませれば返してもらえる可能性がありますが、没収はそれがありません。

また、没収された貨物には関税がかかりません。関税は通常、輸入品と国産品の価格を調整するためにかけられるものですが、没収された貨物は市場に出回ることがないため、関税をかける意味がないからです。

5. 保税工場や総合保税地域の場外作業の貨物
保税工場や特別な区域の外で作業する許可を受けた貨物が、指定された期間を過ぎてもそのまま残っていて、税金が課された場合。

保税工場で製品を作るための材料などを外に持ち出して作業することを「場外作業」と言います。この場合、税関長の許可が必要です。

場外作業を許可された場合でも、その作業を行える期間は税関長が決めた期限内だけです。

もし、許可された期間を過ぎても材料が保税工場の外にある場合、その材料には関税が課されます。関税を支払った時点で、その材料は輸入が許可された(内国貨物になった)とみなされます。

最後に

以上、本記事は「みなし内国貨物」を説明しました。通関士を目指す方、貿易知識を身につけたい方、筆者と友達になりたい方(?)はぜひ他の記事もご覧ください!

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