「みなし輸入」を分かりやすく解説!
みなし輸入(関税法第2条第3項)
「みなし輸入」の定義
外国貨物が輸入される前に本邦において使用され、又は消費される場合には、その使用し、又は消費する者がその使用又は消費の時に貨物を輸入するものとみなす。
分かりやすい言葉に置き換えて言うと…
外国貨物が正式な輸入手続きが終わる前に、日本国内で使われたり消費されたりした場合、その使った人や消費した人が、その時点でその貨物を「輸入した」とみなされる、という意味です。
「輸入品を届く前に使ったり消費したら、それを使った人が輸入者とされる」というルールです。
日本に届いていても、輸入の手続きが済んでいないものはまだ「外国貨物」という扱いです。
例えば、商品を分析するために使ったり、展示会で試飲用に提供した場合などが「みなし輸入」にあたります。この場合、保税地域(貨物が一時的に保管されるエリア)から貨物を引き取ってはいませんが、消費したことでその貨物が無くなってしまうため、輸入したと見なされます。
ただし、これを行うには税関長の許可を得て「内国貨物」(正式に輸入されたもの)として扱われる必要があります。許可なく行うと法律違反です。
しかし、外国貨物をそのまま日本で使っても「みなし輸入」にならないケースもあります。
以下で説明します。
外国貨物を使っても「みなし輸入」にならないケース
みなし輸入にならないケースは以下の4パターンです。
- 保税地域においてこの法律(関税法)により認められたところに従って外国貨物が使用され、又は消費される場合
- 外国貨物の船用品、機用品を本来の目的に従って使用し、又は消費する場合
- 旅客又は乗組員が携帯品である外国貨物を個人的な用途に使用し、又は消費する場合
- 税関職員の権限の規定、その他法律の規定により外国貨物をその権限のある公務員がその権限に基づき使用し、若しくは消費する場合
分かりやすい言葉に置き換えて言うと…
1.保税地域での使用・消費
保税倉庫や保税工場など特定のエリアで、関税法のルールに従って外国から来た貨物を使ったり消費したりする場合。
例:外国から届いた材料を保税工場で製品に加工する
2.船や飛行機での使用・消費
外国からの貨物を船や飛行機の運行に必要なものとして、本来の目的で使ったり消費したりする場合。
例:運行に必要な燃料や物資を使う
3.旅行者や乗組員の個人使用
旅行者や乗組員が、自分が持っている外国からの荷物を個人的に使ったり消費したりする場合。
例:旅行から帰国した際、持ち帰ったお菓子や飲み物を税関の手続き前に食べたり飲んだりする。
4.公務員の使用・消費
税関職員やその他の法律で権限を持つ公務員が、その権限に基づいて外国からの貨物を使ったり消費したりする場合。
例:税関職員や植物防疫官が検査や業務のために外国貨物を使ったり消費する
最後に
正式な輸入手続きを経ずに貨物を消費する場合、原則「みなし輸入」となります。ただし、例外に該当すれば問題ありません。
以上、本記事は「みなし輸入」を説明しました。通関士を目指す方、貿易知識を身につけたい方、筆者と友達になりたい方(?)はぜひ他の記事もご覧ください!
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